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 Dixxxit

2.

二人寝台の端に腰掛けていた。イグナシオは先ほどから、挑戦的ともいえる眼差しをこちらに向けている。
柄にもなく、緊張してくるのは僕の方だ。思い起こせば、処女童貞を相手にした事がない。王子は全然童貞じゃないのだけど、これから僕がやろうとしてるのは彼に取って未知のコトだから、今夜に限っては似たようなもんだ。

「で、俺は何をすればいいわけ。」
「何もしないでいいよ。僕に任せていればいいんだ。」
僕は一応余裕を装ってみる。
「すげえ変な気分。」
王子が肩をすくめて苦笑。

手を伸ばし、僕の目線よりわずかに高いところにある彼の頬を撫で、唇をなぞった。戸惑いと虚勢が交差したような表情をする彼。蒼い目が黙って僕を見てる。とりあえず口づける。舌を絡めて、吸う。そのうち気分が乗ってくる。服の上から相手の性器をなでる。既に半ば固くなっている。僕のも同じだ。

互いに服を脱ぎ、横たわる。燭台の仄かな灯りに、王子の裸体が浮かび上がる。
無駄なく筋肉がついて引き締まった身体。単純に、きれいだ。首から胸、脇腹とゆっくりと愛撫する。胸の突起を舐めたらそこはくすぐったいといわれ、ひるまずに続けようとしたら身をよじってかわされた。無言で、それよりも触れてほしいところがある言いたげな顔をしている。

僕は了解して、熱く脈打つそれにそっと舌をはわせる。下から先端迄舐め上げるようにすると息をのむような王子の声がして、僕の右手の下にある彼の太ももが緊張する。二、三度亀頭の部分を口に含んで彼を呻かせた後、今度は少し手を添えて軽くしごきながら、僕は舌をだんだん下の方へとはわせていく。そして更に後ろ側に行こうとした時、彼がためらいがちに足を開いた。

両膝を立てさせ、彼の腰を少し持ち上げるような感じで、僕はついにそこにたどり着く。柔らかい肉は無防備なくらいたやすく開き、僕の舌の侵入を許した。その瞬間、うっ、と声にならない悲鳴のような音をもらして、彼が腰をよじらせる。息が荒くなる。そのまま一定の拍子をつけて僕は攻め続ける。舌の代わりに親指をあてがい少しじらすと、こらえきれなくなったように彼の腰がうごき、やすやすと僕の指を飲み込んだ。

* * *

…が、順調に行ったのはここまで。

指にすっかり馴れたので僕のモノを入れようとしたら、案の定つまづいた。あてがった瞬間、彼がはっ、と我に返ったような顔で僕をみて、その後はもうダメ。痛がってしまってうまくいかない。かろうじて先っぽが入ったもののそれ以上いけない。おまけに、さっきはあんなに柔らかく溶けていた場所が一転して、僕をひどく締め付けてくる。

まあ、最初からだいたい予想してたことだった。実は、僕自身が一度じゃ無理だったからだ。
当時14か15でまだ幼かったせいもあるんだろうけど、同じ相手に二回か三回かけてゆっくり身体を開いてもらったのを覚えている。こーいうのは個人差や才能の問題やら色々あるが、とりあえず今、僕はその相手の方法を真似てるわけだから、結果が似てても不思議じゃない。

だけどイグナシオはけなげだった。クソ痛えぞ、この馬鹿野郎、と時折苦しげに悪態をつくものの、ギブアップとはいわなかった。僕はといえば、やりたい気分と、彼に悪い気分と、狼狽とが入り交じって、結局何がしたいんだかわからなくなってくる。マズイ。落ち着かなきゃ。



続く


作者後記

全二話で終わらせるつもりだったのに…(汗)。サマ王子ダメすぎ。
それでも一応フォローしとくと、サマのモットーも、サマに昔教えた人間のモットーも「痛がったら無理強いしない」「急いで雰囲気が悪くなるくらいだったら、待つ」。思いやりがあるというよりは、それがテクだと信じているのです。だからこんなにトロいんです…ということで。

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